多汗症(手の汗)治療は山本クリニック 本文へジャンプ



他院で代償性発汗が強く発現した

患者さまへの対応
について



ETSを行った場合に

強い代償性発汗が現れることがあります。

手や顔や脇の止まった部分の汗の量が

背中や胸に引っ越してくる現象ではありません。

それ以上に多くなり術後に

患者さまを困らせるのです。

一方、ETSを受けた

すべての患者さまに

強い代償性発汗が現れるのではありません。

まったく、気にならない人が95%以上

多くいるのも実際です。

他の人なら気にしない程度の汗でも

元々汗の少ない体質の場合では

当人は気になってしまう場合もあります。

このような場合は

病的な代償性発汗とはいえないけれども

ETSはデメリットがメリットを上回る

事になります。

当院では、ETS後の体の汗の量の

変化について

多くの情報を検討し

術後の代償性発汗に取り組むことができております。



 代償性発汗の発現の有無および

発現部位・範囲・程度・時期なども

ETSにおける

交感神経節の切除設定が

関係しています。

現在、局所多汗症は厚生労働省が定める

難治性疾患に認定されるようになりました。


ETSを受けた後、手の汗はほとんどの患者様で

正常になっているのにもかかわらず、

よい治療ができていると言う状態でない人が一部にいるからです。

代償性発汗が強く発現した

5%の患者さまの治療が難しく大変だからです。



同じETSで同じ交感神経節のところを

手術しても結果が人によって大きく異なるのです。

結局、個体差が手術で大きく問題になるわけです。

当院では、1990年代よりETSの当初から

個体差の把握のためにETSの術中電気的刺激試験

を行ってきました。

現在では、代償性発汗の発現に対して

一定の考えがあります。

これに、基づき多くの代償性発汗の

患者さまの治療も担当し

成功しております。

要点は2つあります。

代償性発汗の発現には

交感神経節切除において

1. 必要な部分の神経切除をしなかったこと

2. 不必要な部分の神経切除をしてしまったこと

が原因しています。

1と2の部位が人によって違いがるので一律に

同じ切除設定を繰り返すと

必ず代償性発汗が強く現れる人が出ます。

この点で難治性疾患と認定される現状にあるわけです。

同じ切除設定は絶対にだめなわけです。

当院では、術中電気的刺激試験のデータ解析を

繰り返し行い、見直してきました。

2009年8月以降の初回ETS(700例以上)において

2010年の猛暑においてさえ

術後に治療を要する強い代償性発汗の患者様は

ありませんでした。


一方、他院の患者さまからの代償性発汗の治療についての

お問い合わせが非常に増加しました。

代償性発汗が強く発現した場合にも

治療の可能性は残されています。

当院の方針については以下に示します。

1. 代償性発汗はETSの副作用ですので

手術を受けた病院で治療を進めていただくのが本筋。

2. 手術を行った病院で代償性発汗の治療がすすまない

場合には、代償性発汗の診断と手術情報などの重要資料を整え

紹介していただくこと。

3. 当院と同様に手術を初回片側行った後に両側手術後であること。

4. 当院の診察時に病的な代償性発汗が認められること。
  (症状の部位に気温30・湿度50%で
   発汗量2.0mg/cm2/分以上の発汗があること)

とくに、他施設の患者さまの治療の際には

施設間の多汗症の治療の進め方に違いがあります。

最初片側するのか両側するのかで代償性発汗の治療も

難しさが異なります。

片側手術では、術後に個体差の部分が

代償性発汗の現れ方で発現します。

それであれば、最初の手術で電気的刺激試験を

の結果がある程度推測できるようになります。

当院であれば切除しなかったであろう交感神経のレベルが

どこであるかがわかれば、その部位の神経の再建修復

ができます。

その部分を再建修復して経過をみて

反対側の代償性発汗の治療をすることができます。

初回両側している場合には、どこを再建修復するのか

分かりにくいため、再建修復はT2から順に行わなければ

なりません。順にT3あるいはT4でよくなければ

それ以外の部分の再建修復を順次繰り返すことになります。

複数回の手術でとても大変です。

何度か繰り返せば最終的に代償性発汗の改善が得られますが

道のりが大変です。

患者さまも前医に対して不満や怒りをいだいていることが

多く当院としてもお付き合いが大変です。

この点で最初の手術の病院で

担当していただくのが良いと考えます。



 方針の異なる治療を受けた患者さまの代償性発汗の治療を

当院で行った場合にどうなるか

をシュミレーションすると

うまく行けば問題ありませんが、

そうでない場合を以下に列記します。

1.再手術で、癒着に阻まれて何もできない。

2.癒着剥離で出血して大変なことになる。

3.再建修復の手術を行っても良くならない。

どの場合も患者さまの無念は計り知れません。

中には裁判をする人も出てくるでしょう。

とくに3の場合に当院で手術したとなると、

たとえ患者様が前医を訴えたとしても、

代償性発汗は当院も関係しているので

前医も当院に裁判の鉢を回してくることになります。

当院としては、最終的に患者さまの満足が得られる

形で治療を進めていきますので、上記のような経過に

お付き合いするものではありません。

特に代償性発汗では訴訟を行っている方が

実際にいますので、裁判の行方を見守る事としています。

代償性発汗が金額的にどのくらいの損失なのかも

判事されるようになって後、方針の異なる患者さまの

対応を再開することはあるかもしれませんが、

現状では見合わせております。

手術を受けた病院に対応いただくのが一番良いです。

代償性発汗の治療は現時点十分可能であるわけですが

訴訟など社会的な問題も重なってきますので、

方針の異なる他院での治療患者様は、

上記の事情が落ち着いた状況になった後

お問い合わせ下さい。









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2006年10月11日 21:37:11 掲載開始
2008年4月12日 更新